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アスペルガー症候群

 アスペルガー症候群自閉症の一つのタイプです。

アスペルガー症候群の子どもや大人は、
次の3つの点で問題を抱えてしまいます。
 
(1) 社会的関係をもつことというのは、
他の人と一緒にいるときに、
どのように振る舞うべきかということ。

(2) コミュニケーションとは自分の思っていることを
どう相手に伝えるか、そして相手の言いたいことを
どう理解するかということ。

(3)想像力と創造性の問題とはふり遊びや、
見立て遊び、こだわりと関係すること。

下記に3つの特徴について詳しく説明しています。


アスペルガー症候群の定義は一つではありません
大きくわけてアスペルガー症候群の定義は二つあります。

一つはウィングらが提唱しイギリスを中心にヨーロッパで
主に使われているアスペルガー症候群の概念、

もう一つはDSM-IVやICD-10などの国際的な診断基準で
定義されているアスペルガー症候群
(これはICD-10の呼び方でDSM-IVではアスペルガー性障害と呼ばれます)の概念です。

ウィングらの考え方を基本にして書かれています。
日本やアメリカではDSM-IVの考え方を採用する専門家もいます。

ICD-10やDSM-IVのアスペルガー症候群
認知・言語発達の遅れがないこと、
コミュニケーションの障害がないこと、
そして社会性の障害とこだわりがあることで定義されます。

ウィングの考えではアスペルガー症候群
3つ組の障害があることで定義されるので、
当然コミュニケーションの障害も併せ持つことになります。

アスペルガー症候群の特徴

コミュニケーションの問題

想像力の障害

アスペルガー症候群の子どもとの接し方

 援助の基本方針はまずアスペルガー症候群
理解するということです。
アスペルガー症候群の子どもは社会性、
コミュニケーション、想像力の3領域に障害があります。

困った、不適切な行動、風変わりな行動をとったとしても、
「わざとやっている」とか「ふざけている」とか
とらないで下さい。

そのような行動の多くはアスペルガー症候群特有の
ハンディキャップのために生じているのです。
以下に述べるのはアスペルガー症候群の子どもとの
つきあい方のいくつかのコツです。

予測しやすい環境

 アスペルガー症候群の子どもは予測できないことや
変化に対して苦痛を感じることが多いのです。

どこで何が予定されているかということを
なるべく前もって伝えましょう。
言葉だけでなく文字(年少の場合は絵や写真)で
伝えるのが効果的です。

つまりスケジュールを予告することが大切なのです。
現実の生活では予定どおりにいかないことも沢山あります。
予定外の出来事やスケジュールの変更も、できるだけ本人にわかるように
たとえ直前であっても明確に伝えることが大切です。

安全で穏やかな環境

 アスペルガー症候群の子どもは騒々しい環境が苦手です。
余分な刺激の少ない静かな環境の方が本来の能力を発揮できます。

大声で叱ったりすることは逆効果です。
できるだけ穏やかに接するようにしましょう。
教師や親はできるだけ感情的にならず
穏やかに冷静に話をする姿勢を持ちましょう。

大人が感情的になってしまうと、
アスペルガー症候群の子どもは
大人が言いたいことよりも感情的になったということのみに
気持ちが向いてしまいがちです。

もちろん大人にも感情的になってしまう理由は
十分あるのですが、子どもはその情況には無頓着で
「怒られた」「拒否された」という気持ちのみが
残ってしまうことが多いのです。

子どもの行動が変化するには長い時間が必要です。
困った行動は少しずつ、少しずつ改善していくのを目標にしましょう。

時には発達するのを待つという姿勢も大事です。
子どもにとって無理なことを強制するのはやめましょう。

一人で乗り越えさせようとすると多くの場合、自信をなくしてしまうか
自分の興味のあることしかしなくなります。

 アスペルガー症候群の子どもは
非常にしばしばいじめの対象になります。
学校の休み時間、登下校時など大人の目の届かないところで
いじめられていることが多いのです。

自分一人の力でいじめに立ち向かっていくことは不可能です。
またいじめられていることを教師や親に告げない、
告げようとしない場合も多いのです。
できるだけ大人やしっかりした年長者の監督下におくことが必要です。

ルールや指示は明確にしましょう

 アスペルガー症候群の子どもにとって「暗黙のルール」の理解は困難です。

ルールはできるだけ明確で、
その子どもの能力の範囲内で実行可能なルールにしましょう。
曖昧な指示や皮肉、言外の意味の理解を期待した指示は
理解できないと思った方が良いでしょう。

場に関係のないことをしつこく聞いたり話したがる場合には、
「今この場ではその話はできない」とか
「この話は5分で打ち切る」などと情況に応じて
明確に伝えた上で、「いつどこでなら話をしても良い」という
代替の提案をできるだけするようにしましょう。

できるだけポジティブに接しましょう

 アスペルガー症候群の子どもは否定的な言動に対して敏感です。
記憶力も非常に良いことが多いので、後々まで尾を引きがちです。

小学校の一年生の時に先生に叱られたことを
覚えていて大人になってから唐突に
教師の住所を調べて抗議の手紙を送ったりすることもあるほどです。

アスペルガー症候群の子どもは思春期頃になると
自分の言動が他の多くの子どもと違っていることに気づき、
落ち込むことがあります。

小学校などでも、どちらかというと教師や大人から
叱責される行動をしてしまうことが多いので、もともと自信をなくしがちです。
できるだけ長所をみつけて誉めるようにしましょう。

子どものこだわり、関心事は矯正するより何かに生かす方向で考えましょう

 アスペルガー症候群の子どもの関心事というのは
大人が変えようと思ってもなかなか変わりません。
でも自然に関心ごとが移っていくことは意外に多いのです。

例えば電車に強い関心があれば、
駅名から漢字を覚えるとか路線図から地理の勉強につなげていくとか、
電車の構造から理科の勉強につなげていけないかなどと、
子どもの興味を良い方向に伸ばすように考えてみましょう。

大人を試すような行動をする場合にも冷静に対応しましょう

 わざとのように困った行動をして、教師や親がどこまで許容するか
「試す」ように見える子どももいます。

しかし、こういった行動は本当に「わざと」やっているわけではなくて
「周囲が困る」ということの認識不足のことが多いのです。

つまり相手の気持ちを理解することの障害から現れてくる行動なのです。

やっていいことと悪いことを明白なルールとして、子どもが理解しやすいように
文字や言葉で繰り返し冷静に穏やかに伝えていく
ようにするのが結局は一番の早道です。

不思議なくらいスッキリする考え方を見てみましょう

アスペルガー症候群だっていいじゃない (ヒューマンケアブックス)