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どんな病気

ヒステリーは、強迫神経症とともに十九世紀末以来
研究されてきた主要な神経症類型です。
しかし、それゆえにまた「ヒステリー」という言葉は
さまざまな意味をもって使われています。

ここでは、これらの混乱を避けるために、
従来転換ヒステリーおよび解離ヒステリーといわれてい
る一群を解離性障害として述べることにします。

解離とは強い情動体験により意識あるいは
人格の統合性が一時的に失われた状態をいいます。

すなわち、この解離性障害はその発症において、
外傷的な生活上の出来事や解決不能な耐えがたい問題、
あるいは対人関係の上での困難などと
密接に関連していて心因性です。

解離性(ヒステリー性)健忘

最近の苦痛をともなう不快な体験や
心的外傷的出来事についての記憶喪失のことで、
通常は部分的で選択的ですが完全な健忘もあります。

この障害はてんかんや他の脳の器質的障害、中毒、
過度の疲労などによるものではないことが前提です。

時には、自分の姓名、住所、家族やこれまでの生活史のほとんどか、
すべてを忘れてしまった状態になることがあります。

これを全生活史健忘といいます。

この場合でも食事をする、入浴する、人に物を尋ねる、
テレビをみるなどの簡単な日常生活を営むうえで
必要な記憶は保たれているという特異な状態です。

これは次に述べる解離性遁走の部分症状としてみられます。

解離性(ヒステリー性)遁走

耐えがたい現実から逃れ数日から数ヵ月間
家庭や職場を捨てて意図的に放浪する場合で、
その遁走期間中「自分は誰か、住所はどこかわからない」など
前述の解離性健忘が存在しますが、

基本的な自己管理ができ対人関係ももてることが特徴的です。
一見正常に見えるため、時には何カ月も遁走先で
仕事をしていて周囲の人たちから気づかれない場合もあります。

健忘が改善されたあとで、逆にその間のことは
まったく思い出せなかったり、
部分的にしか思い出せないのが普通です。

解離性(ヒステリー性)もうろう状態

これは強い情動体験の際に
解離症状としてみられる意識障害です。

しかし、意識障害といっても
身体的疾患の重篤なときにみられる
意識混濁とはことなり、意識野が硬くなった
意識狭窄を主としたもうろう状態です。

ひどくなると周囲の刺激に対して
まったく反応しなくなる昏迷状態にいたることもあります。

拘禁精神病のところで述べたガンザー症候群や
仮性痴呆(偽痴呆)といわれるものも、
このヒステリー性もうろう状態に関係した現象とされています。

また、解離性の二重人格や遁走などの行動は
多少ともこの意識障害をともなうのが普通とされています。

解離性の運動および知覚障害

これらは心因性にひき起こされた運動機能の喪失
あるいは困難、また知覚麻痔や脱失をいいます。

これらの身体的障害は、訴えに見合う
神経学的所見がみあたらず、生理学的
あるいは解剖学的に説明できない出現のしかたをすること、

患者は症状形成によって苦痛な
内的葛藤から逃避できること、
重篤な障害を訴えているにもかかわらず

その症状に無関心あるいはあまり深刻に
悩んでいるようにはみえないなどの
特徴があるとされています。

症状は多彩で、ある時から突然立てない(失立)、
歩けない(失歩)、声がでない(失声)、四肢麻棒など
運動障害がみられます。

また全身けいれん発作や意識喪失発作など
てんかん発作によく似た
解離性のけいれんや知覚神経の分布にあわない
知覚脱失、知覚鈍麻、知覚過敏、
痺痛などもしばしば認められます。

きわめてまれにですが、見えない(盲)
聞こえない(聾)という
解離性症状も見られることがあります。

これらの症状が単独に
あるいはいくつか一緒に訴えられます。

不思議なくらいスッキリする考え方 をご覧ください。