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想像力の障害はこだわりやふり遊びの少なさ、
融通の利かなさという形で現れます。

早い場合には1歳前から、モビールや風にゆれる木の葉を
ベッドから何時間も眺めて笑う、
たまたま母親が池に石を投げ込んでできた波紋をみて、
何度も石を投げるように要求して波紋を見続けるといった
行動が現れます。

その他にも踏み切りで電車を延々と見続ける、
空中に文字や模様を描くことに熱中するなどの行動がみられます。

特定のビデオの同じ場所を繰り返しみたり、
他の遊びにはめもくれずテレビゲームのみに熱中し、
攻略本などで完全に裏技などもマスターするなども一種の
「こだわり」とみなされます。

 ごっこ遊びやふり遊びが少ないことも特徴です。
ふり遊びには自分がもし○○だったらと
想定するための想像力が必要ですし、
ごっこ遊びには相手に合わせて
柔軟に遊びのストーリーを変えていくことが要求されます。

相手のある遊びでは相手の行動は予測できませんし、
予想外にことが起きるから楽しいともいえます。

しかしアスペルガー症候群の子どもは柔軟性に乏しいために
予想外の事態を嫌い、
複数の子ども相手のごっこ遊びを避けることがあります。

 アスペルガー症候群の子どもが示す想像力の障害
次に述べるようなコレクションや反復的行動、
融通のきかなさに繋がっていきます。

つまり想像的な遊びが乏しく、
他の子どもとの相互的な遊びを楽しむのが難しいとしたら、
一人遊びが増え、同じことの繰り返しが
楽しみになっていくわけです。

コレクション

 アスペルガー症候群の子どもは色んなものを集めたがります。
電車や飛行機のミニチュア、カードといった一般的なものから、
トイレのブラシやコンビニのレシートといった
風変わりなものまでさまざまです。

小学生以上になると、
ある種の情報を集めることに熱中することが多いようです。
あるアスペルガー症候群の中学生は、各地の高層ビルを巡り、
そのエレベータの製造会社と型番などを
ノート型のコンピューターにインプットすることを楽しみにしていました。

 アスペルガー症候群の人は
機械的記憶力が優れていることが多いので、
語学や歴史、地理、コンピューターなど
反復練習が効果をあげる科目で優れた成績をとることがあります。

学校などで友人や教師の名前、誕生日、クラスの配置や
教室の広さなど細かく覚えていることがあります。
沢山の情報を集めることでなんとか
予想外の事態を避けようとしているのかもしれません。

友人の名前や誕生日を覚えているからといって
対人的関心が強いとは限りません。
ある幼稚園児はクラスの友人の名前と誕生日、
星座などをすべて暗記して、欠席や遅刻などについても
いちいち教師に報告していましたが、
誰とも遊ぼうとはしませんでした。

友人に付随する事実(情報)に関心があったので、
遊び相手としての友人にはほとんど無関心でした。

パターン的行動、生真面目すぎて融通が利かない

 興味の対象として「パターン」があります。
朝起きたら必ず雨戸を開けるといった
目立たない習慣のようなパターンもあります。
雨が降っていても雨戸を開けたがったら、それはパターンです。
一日の行動パターンを完全に決める人もいます。
毎朝の通学電車では同じホームの同じ場所から、
同じ時間の同じ号車に乗ることに決めていたりします。

 融通が利かないことも学校生活で問題になります。
時間割の変更や突然の教師の欠勤という事態で
不安を感じたりかんしゃくをおこしたりします。

あまりに規則に厳格なために、遅刻した同級生に延々と注意をしたり、
修学旅行などで消灯時間をかたくなに守り、
他の生徒の顰蹙をかったりすることがあります。

ものまね、テレビ・ビデオへの興味

 アスペルガー症候群の子どもの多くはものまね遊びが得意です。
一見ごっこ遊びに似ていますが、一人で遊ぶことが多かったり遊びの内容が
反復的でテレビの場面などのコピーになっていることが、
他の多くの子どものごっこ遊びと違うところです。

実際にテレビアニメの主人公に
「なりきって」しまう子どもも少なくありません。

ただしアスペルガー症候群の子どもの場合は相手の子どもの反応にあわせて
自分の言動を柔軟に調整するのが苦手なので、
多数の中でのごっこ遊びは長続きせず、
一人でテレビの場面を再現するような遊びかたになります。

テレビ番組では医学物などのドキュメンタリー番組、
ドタバタ系のバラエティ番組を好みます。

フィクションではSF番組、単純な勧善懲悪ものを好むことが多く、
人間関係の複雑さがテーマになるような
ストーリー性のある番組を好むことは少ないようです。

読み物も図鑑や辞書などが好きなことが多いのですが、
小学校も高学年になると歴史ものや
SF、医学もの、刑事ものなどを好むようになります。

より年長になっても、人間関係の心理のあやが
テーマになるような小説を好むことは稀です。